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【7・16vsJR西日本観戦記】

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人間、辛抱だ

「春シーズン最大のターゲット」だった。

19-31の結果に

「ものすごく悔しいです」

と、谷主将は唇をかんだ。


関西屈指の天然芝環境を誇るJR西日本G

トップウエストで奮戦し、強豪大学の選手の入部により近年地力強化がめざましいJR西日本レイラーズ。タイトな試合で自分たちの実力がどこまで通用するか試される一戦だった。


 風下からのキックオフ。鷹取の浜風は状況によって向きが変わる。そのことを熟知しているホームのレイラーズはキックを有効に使って六甲陣内で戦いを進めていく。

 六甲もWTB三木が瞬時の判断からラインを突破して相手陣に入るが、ゴロキックが相手選手の懐に収まるとすぐにキックで盛り返され苦しい展開になる。

 8分、22メートル付近から右に展開したレイラーズは広いインゴールへ蹴り込む。バッキングに戻る六甲WTB瀧村が芝生に足を取られ、先制トライを許してしまう。

 六甲もすぐさま反撃。ゴール前のラインアウトをからモールを押し込む。ジワリジワリと押しながら、ゴールラインを越えたかと思えたが、痛恨の倒れ込みを犯してしまう。

タイトなゲームでは「取りどころ」を逃すと、流れが苦しくなる。 

 ブレイクダウンはほぼ互角にファイトするも、レイラーズの巧みなキックで六甲は自陣での戦いを強いられる。絶え間ないレイラーズの波状攻撃にもよく反応していたが、30分、一つのタックルミスからやや簡単にトライを奪われてしまった。

 ベンチやチーム内にもやや重苦しい雰囲気が漂ったが、前半終了間際の40分。六甲は再びゴール前のラインアウトを得た。やや高くはなったがモールをドライブ。最後はPR永田が巨体と巨顔を活かしてゴールラインギリギリにタッチダウン。5-14での折り返しとなった。

 「(攻め込まれて)雰囲気がよくない中で点差は9点。十分射程圏内」(谷主将)

 ・レフェリーの笛に対応して反則を減らすこと。

 ・せっかく攻め込んでおきながら自分たちのミスで苦しい展開になっている

 ・ラインアウトの修正

 などをハーフタイムでしっかり話し込み、後半に臨んだ。

 後半キックオフ。レイラーズがこぼしたボールにFW陣が鋭く反応。敵陣へ入り込む。数回のフェイズの後、最後はHO日下がWTB三木のパックとともにトライラインをこじ開けた。

 そしてすぐ後の後半5分。代わったFB鳥原がスコンと相手防御網を抜けてチャンスを作る。FWがラッシュして最後は主将の谷自らポスト付近に持ち込み、19-14と逆転に成功する。

しかし、その後は一進一退の攻防が続き、膠着状態が続く。

 後半から代わったWTB大塚はわずかな出場時間ながらも、随所に好タックル、ゲインを見せる。

だが、ウオーターブレイクが入り、残り20分を過ぎたあたりから、動きが悪くなってきた選手が出始めた。前半のほとんどを防御に費やしたツケが回ったのか、

「スタートメンバーの動きが残り20分で悪くなった。それではダメです」(谷主将)

 後半最後の被2トライは、いずれも一瞬の気が抜けて大きくゲインを切られトライを決められたもの。FWはリザーブが少なく、苦しい状況だったが、残り20分以降のラインアウトは大きく崩れ、反撃のチャンスを逃した形になった。

 「後半立ち上がり、逆転したところまでは非常によかった。しかし途中でいらん反則で流れを断ち切られのが何か所かあった。ゲームの規律をもっと意識しなくては」(北迫コーチ)

 タイトな相手とは、そうそうチャンスはめぐってこない。敵陣に入るたび果敢に攻めた六甲だが、攻撃の判断ミス、汗で滑るのかボールをこぼす、捕まった時の苦し紛れのパス回しなどでボールを失って、レイラーズに反撃を許された場面も何度かあった。スクラムは合格だが、ラインアウトも含めて「マイボールキープ」の大切さを改めて痛感した。

「僕はとても悔しいです。でも悔しがってるのが僕だけだったら、それでは…」

ノーサイド直後、普段はダウンに入るが、谷主将は集合をかけて仲間を見渡した。

「結局『誰がやるの?』という所にかかってくると思います。平日の個人練習をやる人は確かに増えてきています。でも自己満足になっていないか?それがチームのためになっているのか?最後の簡単に取られた2トライ、高校生だったら“罰走”ものです」。

 厳しいことは承知で主将は続ける。

「この試合、一番体を張っていたのは、一番新しく入ったケイスケ(FL・中村)でした。他のメンバーはそれでいいの?言い訳なんかはいくらでもできるよ。でも俺たちは六甲クラブを選んでプレーしているわけだし、先輩が続けてきたように、もっとやらないと。平日の練習も、(この練習が)チームのためになっているということをピッチで見せないと。ただやっているだけでは趣味と同じです」。

 環境こそ整っているが、JR西日本レイラーズは全員が社員選手。それぞれの部署で通常業務をこなして練習、試合に参加する。この日も夜勤明けの選手や試合後すぐに出勤する選手もいたと聞く。

「レイラーズさんは激しいブレイクダウン、一人一人の強さが素晴らしかった。我々とほぼ練習時間は変わらないと思います。

この差はなんなのか。

しっかりと見つめなおしていきたいです」(谷主将)


2月の全国準決勝で逆転負けを喫し、「Best」のスローガンのもと、雪辱を誓って始まった新シーズン。新戦力も加わり、チームの躍動も大きくなってきた。春シーズンも試合を重ねてチームも成長している実感はあった。

 しかし、世の中そうそううまくはいかない。むしろうまくいかないことが多いのが人生だ。

だが、思うようにいかない時に、負けた時に何をつかんで立ち上がるかで男たちの価値は決まる。

 仲間に厳しい言葉を続けた主将。額には一筋の擦り傷があった。

密集戦でのスパイクの後かと思ったら、

「いや、恥ずかしいんですけど、深夜、職場から帰宅するとき、一瞬眠っちゃって転倒しちゃったんです(苦笑)」

 世代を超えて職種を超えて「日本一」の夢を追い求める六甲クラブ。

 道は険しくとも、笑いながら歩こうぜー。

 (三宮清純)
 









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