Quantcast
Channel: ROKKO RUGBYFOOTBALL CLUB OFFICIALBLOG
Viewing all articles
Browse latest Browse all 781

9・11vs歩々ラガーズ観戦記

$
0
0

世代をつなぐ「情熱」

「楽しく・強く」

1969年から続く六甲クラブのモットーだ。

兵庫県Aリーグに所属する六甲クラブ・レッドウイングスは、その「楽しく・強く」を前面に押し出すチームである。

この日も19歳から59歳までの六甲戦士が加古川・日岡山に集まった。

 

「自分に厳しくプレーをしよう」

ゲームキャプテンを任されたFL伊藤宏成が円陣をまとめる。08年度、六甲が「どん底」の時代に主将を務めた。酒の席はともかく、六甲に入って10年が経つ今でも激しいタックルに仲間の信頼も厚い。酒の席はともかくだが…

「新しいメンバーもたくさんいる。ミスとかは必ず起こる。その中でそれぞれが自分に厳しく、次につながるゲームをしよう」

キックオフ早々から六甲は敵陣に入る。21歳になったSH瀧村が鋭く球をさばき左右にボールを散らす。先制のトライは、おそらく六甲史上最高の偏差値を持つ京大院生FB市橋だった。

 この日のCTBは福島泰。今春関西にやってきた。清登・勇樹の福島兄弟とは特に関係はないが、単純なあだ名をつけるこのクラブでは「三男」と呼ばれている。だが、高校は筑紫高校。あの熱い熱い「西村魂」を受け継ぐ男。積極的なゲインと人に強いところを見せる。

その福島泰とCTBを組んだのはなんと23歳年上の内田幸児。99年度、クラブ大会の決勝が初めて秩父宮で行われた時の優勝メンバーである。BK最年長の45歳は先発で大暴れ。相手防御を突破してトライも決めた。

司令塔に指名されたのは、19歳の二宮。昨年まで高校生だったとは思えないふてぶてしい表情だが、粗削りながらもミスを恐れぬパスさばきと野武士のように髪を振り乱しながら試合を組み立てていく。

 FWも負けていない。まだまだ猛暑の中の戦いとなったこの試合で30代の一列陣は、昨晩のFW会で食い倒した焼き肉を少しでも消費しようと必死に動く。竹田・平岡のLO陣についてはゲームフィットネスをあげさせるためか、「交代なんかハナから考えてません」と交代指示を務めた玉川副将から「強めの追切指令」が下された。

 ハーフタイムで六甲RWは次々と選手を投入していく。六甲18年目。いつのまにか不惑に入り、3人の父親になっていたCTB田部はお約束のノックオンを見せ、久しぶりの実戦というSH原田は「過呼吸になりそうでした」と言いながら必死に球をさばく。

 瞬間、歓声がわいた。44歳のWTBにボールが渡りゴールラインに迫る。年を重ねても清潔好きと人見知りと入念なストレッチは変わらない男がゴールに迫る。

惜しくも相手につかまりポイントを作る。そこに忠実にフォローに入ったのが、なんとなんと41歳のHO榎村。00年~02年度まで主将を務め、主将を退いてもクラブ運営の根元として毎週の練習に欠かさず参加を続ける男がゴールラインに飛び込んだ。

GMのトライに沸いた六甲ベンチだが、最後に59歳の古村を投入した。

古村は同日他会場で行われたベテランやレジェンド世代の大会よりも、兵庫県リーグを選び、はるばる三重から駆け付けた。出場できる時間は限られているが、若手と同じアップメニューをこなし、前半は仲間の躍動をカメラマンとして駆け回っていた。

「あんまり膝の調子がよくないんやけど」と言いながらも、還暦目前の全力プレーを見せた。

歩々ラガーズに最後は意地のトライを返されたが、68-5で六甲レッドウイングスが勝利を飾った。

「来週の近畿リーグ開幕戦に向けて非常にいい内容でした。若手からベテランまでが同じ気持ちで戦う。これが日本一を目指す六甲クラブです」(ゲームキャプテン・伊藤宏)

ベテラン・オッサン連中は知っている。若手が引っ張ってくれるからこそ、自分たちも必死にガチンコで勝負ができることを。

 若い世代はオッサン世代とプレーして、このクラブの歴史と精神を受け継いでいくことを実感していく。

やっぱり No rugby,No life だ。

(三宮清純)

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 781

Trending Articles