悔しかったら、やれ!
0-62。10トライを奪われた。
関学大に爪痕すら残せなかった。
六甲は、弱い。
急に決まった試合で、いつものメンバーではなかったかもしれない。
ケガ明けや久々のメンバーもいたかもしれない。
それにしても、である。
「この試合、多くのメンバーには(公式戦へのアピール)チャンスだったんですが・・・」
チームをまとめた副将の玉川もやや呆然自失の症状だ。
6月の関学戦では、キックオフ直後に立て続けに3トライを奪われた六甲。それだけに、最初の入りに集中。スクラムも互角フェイズも対抗。だが、敵陣に入ってのラインアウトで痛恨のミスでFK。一気に自陣に戻されて、ラインアウト&モールで簡単に先制トライを許してしまう。
この日はラインアウトが特にひどかった。せっかくチャンスをつかんでもミスからターンオーバー→関学の逆襲→デフェンスをこらえきれずにトライ。そんな場面が何回かあった。
関学は周囲に翌日の公式戦を控えたAチームメンバーや、それ以外の多くの部員が声援を送っていた。仲間の前でヘタなプレーはできない。その思いがピッチに立った一人ひとりの選手からにじみ出て、波状攻撃で六甲のスタミナを奪っていく。
防御では、初めのうちは肩をしっかりあてた好デフェンスがあったが、やがて学生はズラして当たり、二人目、三人目の塊になってドライブを仕掛けてくる。
後半、関学はメンバー15人を入れ替えてさらに襲い掛かってきた。なんとか盛り返そうとする六甲FWも、FL中村の攻守にわたる奮闘が目立つがその後、2人目3人目の寄りが学生に分があり、好条件の球が出ない。
BKにしても、何とか状況を打破しようとする気迫も感じられず、最後は関学の思うように攻められ、絶望の中でのノーサイドとなった。
「(トライを重ねられるたびに)グラウンドでのコミュニケーションがなくなっていった。FWはセットプレーに危機感をもってやらないと…」
ビデオ係として戦況を見守った福島清も言葉が少ない。ほぼ自陣での攻防。相手22メートルを越えたのはわずかだった。
「せっかくチャレンジできる絶好の試合だったのに。関学さんにも申し訳ない」
玉川副将は続ける。
「もう一度、みんななぜ六甲クラブを選んで、プレーしているかを、真剣に考えてほしい。今日のチームには誇りというものがあまり感じられなかった。」
日本一を目指すというには余りにもおこがましい結果に、選手たちはどう受け止めているか。
この試合に出た選手だけじゃない。全ての選手メンバーはどう受け止めているか?
仕事が忙しい、時間がない。
言い訳なんかいくらでもできる。
しかし、どこかで人任せにしてないか?悔しさを忘れてないか?
怒りを忘れてないか?
来週からは公式戦も本格化。対戦するチームはすべて「打倒・六甲」を目標にもてる力以上の情熱をもってぶつかってくる。
弱いから立ち向かえばいい。
つべこべ言わずやればいい。
この惨敗から、六甲はどう立ち直っていくのか、注目される。
(三宮清純)