この一週間、選手たちはどのように過ごしてだろう。
セブンズとはいえ、悔しさと自分たちの甘さに気づいた敗戦からの雪辱の舞台、兵庫県選手権vs芦屋クラブは、真夏を思わせる太陽が照り付ける中でのキックオフとなった。
開始2分だった。数回のフェイズの後、芦屋デフェンスを鋭く突いて背番号5が飛び込んだ。高校卒業以来、13年ぶりに関西に帰ってきたLO岩宮が「名刺代わりの先制トライ」を決めた。
「(全国大会以来)久しぶりに動くんで…」と謙遜気味だったが、地道なサポート、勝負所での圧力はトップクラブを渡り歩いた男ならではの凄みを見せる。
続く8分にはFL綿谷がトライ。「セブンズとはいえ、先週負けたのがホンマに悔しくて涙が出ました」と古巣相手に気合が入る。ほかにもLO平岡、FL小杉などセブンズに出たメンバーがチームを引っ張る動きを見せた。
18分にはラインアウトのこぼれ球に六甲は鋭く反応。最後はPR山田がゴールラインにねじ込みトライ。ここからさらにたたみかけたいところだったが、細かなミスと、予想外のケガ人が出て停滞気味となる。
前半終了前には、陣地を狙う芦屋のキックが気まぐれにバウンドして六甲をかく乱。そのままチェイサーの胸に収まり、1トライを返され19-7でのハーフタイムとなった。
ハーフタイムで修正点を確認、後半に臨む。風下に回ったが積極的に仕掛けていく。
FB亀谷、CTB衣川のトライなどでペースをつかんでいくが、やや強引な展開、要所でのパスのつなぎでのミスもあった。
この日一番の働きを見せたのは18歳のHO山口だろう。1月には花園でプレーした男が、思い切りの良さとひたむきなプレーでアピールする。報徳で鍛えられたブレイクダウン、タックルの入り方などは基本ン忠実で、他の選手も初心に帰って見習いたいところだ。スクラムはまだまだだが、これからが楽しみな若い力だ。
合計8トライを奪って48得点。しかし4トライ4ゴールを奪われて28失点。カメラマンの古村も「写真を撮っていてもあまりオモロなかったですなあ」と語る内容だった。
特にトライの取られ方が淡白だった。スコーンと抜かれる場面が何度かあり、逆に芦屋クラブにある程度の手ごたえをつかませる印象を残した。
「(ケガ人などが多く)FWは苦しい状況だったと思うけど、それでもラインアウトの組み立て方とか工夫が必要」と、給水係を務めたリハビリ中の福島清が話す。
「公式戦シーズンまであと3カ月です」と話すのは、今季、BKリーダーとなったSH谷だ。「もう3カ月しかない。まだ3カ月ある。この時間をどう有効に使っていくか。みんな、今の状況をどう感じているか。僕はまだまだ課題がたくさんあると思います」と危機感を訴えた。
「試合があらかた決まった終盤に失点をして後味が悪い内容だったな。みんなまだまだ大人しいわ。どんな試合でも相手に敬意を持って全力で戦わないと。個々のプレーの精度向上に努めてほしい。もっと積極的にいかないとなあ」(北迫コーチ)
攻撃のミスなどは新チームでの方向性、戦略などを色々試す時期なのである程度は仕方がないだろう。だが4トライを取られたことに改めて自分たちの甘さを痛感した。
「まだこの時期だから・・・」という“余裕”はもうないはずだ。関東の強豪はこの時期から公式戦でガッチガチにやってしのぎを削っている。
試合が続くこの時期。もっともっと自分にChallengeしていこう。その先にラグビーの楽しさと喜びがある。
(三宮清純)