全国に700以上あると言われるクラブチーム。その頂点を決める「第27回全国クラブラグビー大会」が始まった。
26年連続26回目の夢舞台となる六甲ファイテイングブルの初戦の相手は新潟アイビス。「笑わない男」で有名になった日本代表PR・稲垣選手の母校でもある新潟工のOBや新潟出身の選手で構成されたチーム。今季東日本トップクラブリーグの三部を大差で全勝優勝している強力チームだ。
1月の熊谷とは思えない暖かさ。熊谷名物の『赤城おろし』もなりを潜め、絶好のコンデイションでキックオフとなった。
開始早々、ハイタックルで反則を取られた六甲だったが、落ち着いて敵陣で試合を進めていく。前半5分。ラインアウトから出たボールを巨漢WTB寺田がアイビス防御を強行突破。右に展開され最後はWTB三木が右隅にトライ。FB安部のゴールも決まって六甲が7-0と先制する。
アイビスもすぐさま反撃。CTB小林の鋭い切れ込みとアタックでゴール前まで攻め寄せられる。アイビスの選手たちは若く、サイズも大きく、重たく厚い接点に六甲は防戦一方になった。
アイビスの反則にも助けられた六甲は反撃開始。順調にフェイズを重ねて、穴が開いた内側をHO上田が突進してゴールポスト真下に飛び込み、トライ&ゴール。14-0とリードを広げていく。
再びアイビスにで攻め込まれた六甲だったが、スクラムでプレッシャーをかけ、粘り強いブレイクダウンを繰り返して相手の反則を誘う。26分、波状攻撃してきたアイビスが裏を狙ったショートキックをSO北畑が巧みにキャッチし、一気にカウンター攻撃。WTB三木にボールが渡ってトライ。三木は30分にもトライをあげ、アイビスの勢いを断っていく。
逆光でキックオフのキャッチがやや難しかったが、その後も六甲は有利に試合を展開して31-0でのハーフタイムとなった。
ハーフタイム。後半に向けての修正点をあげていく。
「ノートライに抑えてるし、いい内容だと思う。でも、FWサボりすぎですよ、タックルも高いし。もっと走りましょう!」
№8に入った中村主将が少し余裕ある雰囲気を締め直した。
後半も早々の2分にラインアウトからのモールでトライを奪うと六甲がペースをつかむ。アイビスも必死の防御を見せるが、次第に足が止まり、六甲がトライを重ねていく。ここ数年、全国初戦は思うように力が発揮できていなかったが、この日はほぼプラン通りに六甲戦士がピッチを躍動した。
もちろん課題も出た。終盤、アイビスの執念の反撃もあり反則が続いた。ラストプレーでこらえきれずにトライを許した。
「試合の大勢が決まって、規律が少し緩くなり反則が多くなった。ラインアウトのセットプレーもまだまだ。これからの試合は少しのミスが命取りになってくる」(東田総監督)。
7年ぶりに戻ってきた熊谷で10トライ66点。まずは順調なスタートを切った。
「近畿リーグ戦からなかなか試合ができていなかったので、アイビスさんの重たいアタックに対抗できたことは自信になった。これからも厳しい戦いが続くが、試合に出る選手は六甲のプライドを持ってしっかり戦っていきたい」(中村主将)。
この日の会場・熊谷Bグラウンドの横は前日のトップリーグの試合で大変な賑わいをみせた熊谷Aスタジアム。W杯で改装された最高の舞台が、決勝で待ち構えている。
激戦を繰り返しながら7年ぶりの頂点へ。
六甲ファイテイングブル。
今はただ走り抜けるのだー。
(三宮正純)
※写真は平林昌憲様からご提供いただきました。