先週の大体大戦、この日の天理大戦と、六甲は2週続けて、厳しさと悔しさと痛みを身体に染みこませることになった。
天理大・白川グラウンド。穏やかな日差しの元で行われた強化試合で、六甲は完膚なきまでにぶっ倒された。
翌週に大学選手権・明大戦を控えた天理大。小松監督は「セレクションマッチ」として、45人の部員をこの試合に投入した。
先発メンバーにはLOアシペリ・モアラやパトリック・ヴァカタ・の留学生やHO谷口、№8永井、SO間森など今季の関西Aリーグに出場した多くの選手が顔を揃えた。
最強の相手にどこまでチャレンジできるか?緊張の中、ゲームが始まった。
キックオフ序盤、互いにキックを使って攻防が続いたが、5分、自陣での反則から一気にゴール前5㍍ラインアウトに持ち込まれ、ラインアウト→モールで先制トライを許した。
厳しい戦いになることは覚悟はしていたが、毎日の厳しい練習で鍛え抜かれた天理大FWの圧力が想像以上に激しく、強い。タックルを1発目に低く鋭く入っても塊となった2の矢、3の矢が速く、大きく前進を許してしまう。
バックス陣もアタック、DFともに「ワンライン」の立ち上がりが速く、六甲は追われながらの防御が続き、反則を取られる要因となった。
スクラムでも六甲はヒットした瞬間にグイッと押し込まれて劣勢が続く。それでもダイレクトフッキングでなんとかボールをキープして必死に攻撃を仕掛けるが、少しでもフォローが遅かったり、アタックの当たりが高かったりすると天理大の猛烈な「黒い波」の逆襲にあって一気に陣地を持って行かれる場面が度々あった。
局地戦で優位に立つ天理はセオリー通りにトライと六甲FWのスタミナを奪っていく。特にモアラ、パトリックの両LOが軸となるモールでのトライが続き、六甲FWの足が止まっていく。
ボールポゼッションも今季一番の厳しさだった。CTB三木亮が流れを変えるべく好タックルを見せるが、その後のフォローが続かない。

0ー80。全国大会に向けて厳しい、本当に厳しいレッスンとなった。しかし、体大戦よりは、選手たちの「挑む姿勢」は強く感じられた。一発で取られる場面は少なく、勝ちゲームを重ねることより、こうして厳しい試合を体験して、選手個人やチームの足りない所に気づき、次に生かしていくほうが熟成につながっていく。
麦は踏まれて強くなる。
六甲戦士は決して下を向かず、前を向く。
全国大会まであと1カ月。
時間は限られているが、できることはたくさんある。
(三宮清純)