世代を超えた結束
師走も半ばの芦屋中央公園グラウンドで様々な年代の六甲メンバーが集まった。
兵庫県リーグに所属する六甲レッドウイングス。秋口の緊急事態宣言中の延期や近畿リーグと重なったため、初戦がこの時期までずれ込んだ。
「しっかりコミュニケーションとっていきましょう!」
ゲームリーダーを務めるFL西原がまとめる。
相手のイーグルスは、関学大ラグビー部の若手OBを中心に今季立ち上がったばかりのチームだ。が、チーム人数が集まらず、登録外の選手や、芦屋クラブ、六甲クラブからの助っ人を集めての練習試合扱いとなった。
キックオフ。六甲はリズム良くフェーズを重ねて敵陣に斬り込んでいく。LO二宮も思いきりのよいプレーで前進。ゴール前まで迫るが、あと一歩のところで反則を取られゴールラインを割ることが出来ない。
イーグルスは混成チームとはいえ、実力選手が集まったチーム構成。FLや、HB団には昨年関学大でのAチーム選手をそろえるなど、球際での鋭さを見せて、少ないチャンスの中から先制トライを上げた。
六甲はベテラン選手たちが気迫を見せる。不惑に突入した主将経験者のFL鎌田は相変わらずの鋭いタックルとフォローを見せ、愛息が生まれたばかりの48歳の〝カッチカチおじさん〟西谷も元気なクラッシュを見せる。左脇に控える〝管理職WTB〟井上も必死にゲインラインを突破していく。だが、六甲は敵陣に入っての反則を繰り返しリズムに乗り切れない。前半終了間際、SO前田のキックパスに反応したCTB山下がインゴールに転がり込んだボールを抑えて1トライを返し、5-5でのハーフタイムとなった。
短い時間の中で修正点を確認していく。
「3フェーズをしっかり出す」「攻め込んでの反則を減らすには…」「自分の役割をしっかり果たす」
主将経験者でもあるSH谷が呼びかける
「(同点の)緊張感ある中での試合は全国大会でもよくあること。良い経験をしている。この中から一人でも全国大会でプレーできるよう、頑張ろう。そして楽しもう!」
後半、修正したFWが敵陣に攻め込む。LO福島が相手防御をずらして前進、最後はなぜか大外に残っていた巨漢PR永田が左隅にトライを上げた。
直後にイーグルスに逆転トライを許して、再び緊迫した状況に。ゴール前攻め込まれて、あわやトライか、の場面でWTB井上が起死回生のインターセプト。50歳になったばかりとは思えない激走で一気に陣挽回挽回。追いすがるイーグルスのタックルにあいながらも必死にボールをFB亀谷にパス。逆転のトライが生まれた。榎村GMも後半途中から出場した。
この後もベテランと若手の連係が上手くいき、後半だけで4トライ。27ー17でのノーサイドとなった。
「久々の選手、なかなか近畿リーグで出られてなかった選手にできるだけ長くプレーをしてほしい」とサポートしながら戦況を見守った中村主将。試合に出ないメンバーも給水やビデオ、ボール係などで全力でサポートに回った。
そして忘れてはならないのは同じチームの仲間ながら、嫌な顔ひとつせず相手チームに入ってプレーした選手たち。多くの仲間に支えれて勝ち取った勝利だった。
「ベテランの方も若手も気持ちがこもったプレーを見せてくれました。ナイスゲームでした」。
21歳から50歳までの選手が同じピッチで勝利を追い求め、それを全力で仲間がサポートする。
全国大会へ「全員で勝ちに行く」
チーム力がさらに高まったと感じた試合だった。
(三宮清純)