CATCH THE BIG WAVE
関東地方を直撃した台風15号の影響からか、関西でも9月というのに猛暑となった。加古川・日岡山グラウンドには様々な世代の六甲メンバーが集まった。
先週の試合に出る機会がなかった選手、いつもはサポートに回るベテラン、仕事の都合上なかなか参加できなった選手、そして62歳になっても三重から駆けつける大ベテラン。
「全国につながる試合をしましょう」。
この日はビデオ係を自ら買って出た中村主将はメンバーに呼びかける。
「(兵庫県リーグ)とはいっても、公式戦です。六甲クラブのジャージに誇りを感じてプレーしてください。メンバーそれぞれの思いをグラウンドに出すことが全国大会につながっていきます」。
レッドウイング初戦の相手は歩々ラガーズ。昨年苦杯をなめた相手。負けるわけにはいかない。
前半、押し込んだスクラムの反則から、CTB三﨑が先制トライ。直後にはFB前田が切り込みトライを見せると六甲が主導権を握る。
この日の両WTBは異色の2人が入った。一人は物静かな長身フランス人のマコー。人見知りなのかあまり口数は多くないが、実はそうとうかしこいエンジニアらしい。
もう一人は六甲初の2000年生まれのプレーヤー・山本海斗。余った場面でわざわざスピードを落としてスワーブを切っていたが、縦横無尽にピッチを走り回った。
綿谷、伊藤のベテラン三列は、重くて老獪な当たりを見せ、綿谷はトライも2つあげた。
ポッポラガーズも負けてはいない。近場のアタt利に激しさを見せ、六甲のミスからターンオーバーになると果敢に速攻を仕掛けてくる。
後半になっても厳しい暑さの中、両軍激しい激闘が続く。
六甲も次々とメンバーを入れ替えていくが、その中には理事長のWTB中島誠一郎の姿もあった。
兵庫県ラグビー協会でも重責を背負う誠一郎理事長。神戸で行われるW杯の準備などで忙しいさなか、グラウンドに駆けつけた。やがてチャンスが訪れる。往年のWTB吉田義人を思わせる?快足でトライをあげてしまった。すわ、接待トライ?かと思われたが、「いや、普通にパスを放りたい場面でしっかり走り込んで来てくれたんで、やりやすかったです」と衣川も脱帽。ダテに桐蔭学園は出てません。ジャパンの松島にも届く・・・わけはないか。
残り20分、いよいよ御大の登場である。19歳のWTB山本からバトンタッチしたのは、はるばる三重から駆けつけた古村大輔62歳。わずかな時間でもしっかりキックチエイス、ラックにもしっかりフォローに入る。
「若い子や、経験のない子、外国人選手もいて、古村さんのような大ベテランも一緒にプレーできる。これが六甲クラブの素晴らしさですよね」(伊藤宏)
それぞれが持ち味を発揮して62-0でノーサイド。試合後の古村の言葉がメンバーの胸に響いた。
「みんなね、大きな波に乗って行くには、自分から波に立ち向かっていかないとだめですよ。アタックもデフェンスも。日本一の波に自分から、全員で立ち向かって行きましょう」。
古村には後輩たちの動きがまだまだ、と感じたに違いない。六甲クラブ一アツイ男からのメッセージに、中村主将はおおきくうなずいた。
もうすぐW杯。各国の代表選手たちが続々と日本入りして間もなくこの国はラグビー一色になる。
クラブ日本一だけでなく、この大きな波にしっかり乗っていきたい。(三宮正純)