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2・7全国大会準決勝観戦記

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それでも挑み続ける また準決勝、また瑞穂…。

 今度こそ!の思いが、かえって『瑞穂の呪縛』を強めるのか。

 六甲ファイティングブルは13-22で神奈川タマリバクラブに敗れ去った。

「ダブルタックルとブレイクダウン!」

 密を避けるためにロッカールームの外で組まれた円陣で上田主将は試合のフォーカスポイントを最終確認した。

 「今日という日は二度と来ない。だから悔いの残らないように思い切りやろう!」

 WTB南波流の言葉に気持ちが高まる。4年前、10-10の抽選で行く手を阻まれた決着をつけるべく、新しいファーストジャージを身にまとった六甲戦士たちが決戦のピッチにたった。

 チャンスはいきなり訪れた。前半3分六甲はWTB南波流の力強い突進で大きく前進する。

 本職がSHでもあるFL谷が素早く拾い上げて相手裏に絶妙なキックを転がす。

 同時にチェイスしてきたFB安部がインゴール右隅ギリギリに転がり込んだボールを押さえ込んでトライ。ゴールは決まらなかったものの、5-0と六甲が先制する。

 続く10分、敵陣で反則を得た六甲はFB安部がPGを決めて8-0と点差を広げていく。

さらには17分、タマリバ陣での相手ボールラインアウトからこぼれ球をLO木曽が拾い上げ大きく前進。一気に敵陣深くまで斬り込んだ。素早く左に展開して、ボールはWTB藤坂に渡った。

 『お祭り男』が左隅に飛び込んで13-0。強敵相手に選手も陣営も予想してなかった好展開にムードは一気に高まった。

 タマリバは2回戦が不戦勝だったため、この試合が初戦。序盤はやや浮き足だった面があったか。このあたりから本来の激しい当たりとブレイクダウンが目立ち始め、しっかり身体を当てながら攻撃を仕掛けてくる。

 「今のうちに得点を重ねて突き放したい」-。六甲は3つ目のトライを狙いに敵陣10㍍付近のスクラムからアタックを試みるが、ここでイージーなノックオン。このあたりから嫌な雰囲気が漂い始めた。

 敵陣に入ったタマリバ。じっくりと執拗に低く激しいフェイズを繰り返して前進する。六甲もハーキュリーズ戦で見せた粘り強い防御で盛り返す。FLズキの巨木をなぎ倒すようなBIGタックルもあり、手に汗握る攻防が続く。

 ゴール前の死闘からようやくマイボールスクラムを得た六甲だったが、直後のキックがタッチラインを割らず、再びタマリバがゴール前に押し寄せてくる。36分、40分と粘りきれずに連続トライを奪われ13-10でのハーフタイムとなった。

 限られた時間の中で呼吸と状況を整えコミュニケーションを図る。焦る必要はないこと、自分たちのラグビーを遂行することを確認して後半に臨んだ。

 

 後半開始早々から六甲は敵陣に入り有利に試合を進めていく。

スクラムでプレッシャーをかけ、モールで押し込んでいく。ここでトライをあげて再び流れを自分たちのものにしたい。

 だが肝心なところでのノットストレートやパスミスなど、普段しないような小さなミスで攻撃権を奪われ、逆に焦りとフラストレーションが溜まっていく。 

 後半10分、ピンチを脱したタマリバは逆襲開始。こちらはミスもせずにマイボールキープを続け、自慢の3列が固く厳しいブレイクダウンで前進。№8迫田がゴール右にトライをあげる。

   追う身となった六甲も再び敵陣に入り猛攻を繰り返す。だがタマリバの素早く粘り強いブレイクダウンにまたミスをくりかえしてしまう。FLズギもトライを試みるがタッチラインに押し出されてしまった。

 後半23分には再びタマリバにトライを許して差は9点に広がった。

 30分、まずは6点差に縮めようと安部が45㍍PGを狙うが、わずかに届かず。タマリバの攻撃をしのいでマイボールとなっても焦りとプレッシャーから細かなミスを繰り返す悪循環。六甲は何度もチャンスを潰した。入れ替わった選手も流れを変えることはできなかった。

 「終盤になってもタマリバのブレイクダウンの精度は高いままだった」(CTB髙橋)

 「キツい時でもタマリバはこの状況を楽しんでいるような余裕が感じられた」

 東日本で強敵との激戦にもまれている経験からくる伝統か。タマリバは六甲とは逆に簡単なミスが少なくマイボールキープの時間を長く有効に使った。

 ポゼッション、攻撃とデフィェンスの時間の差が両者のスタミナ消費に差をつけた形になった。

 ちぎれそうになる糸を必死にたぐりよせるかのように最後までアタックを続けた六甲だったが無情のノーサイド。

 これで準決勝・瑞穂は抽選を含めると6回目の厚い壁に跳ね返されることになった。

 

 「ふがいない結果になって本当に申し訳ありません」-。

上田主将は激闘でボコボコに腫れた顔で言葉少なに語った。

 想いが強すぎたのか、自分たちのラグビーができなかった。

チャンスはいくらでもあった。それをミスミス逃した原因はなんだったのか。

 慌ただしく引きあげる中、選手たちは自問自答を繰り返した。

 負けに不思議の負けなし。

 人生は挑戦の連続。

 何度でも挑み続ける強い心で、新たなシーズンに向かって六甲ファイティングブルはまた走り始める。

 (三宮清純)

 

 


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