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全国大会準決勝雑観その①

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弱さの先に

 準決勝敗退から翌日。六甲戦士達は朝からいつも通りそれぞれの職場での毎日を過ごしている。

 だが何気なく過ごすひとときでも、頭の片隅からタマリバ戦の「悔闘」が離れない。

 「毎度のことながら、点を取るべきところで取り切れず、(いつもはしない)リスクの高い選択をしたこと、試合中に修正できなかったですね…」(FB安部)

 「個人としてアタックの機会を作れなかったのが悔いに残ります。アタックの選択肢の幅はチームとして持てていなかった」(CTB髙橋)

 「たられば」は厳禁だが、シーズンで一番大事な試合に自分たちの準備してきたことが出し切れなかったことに悔いとジレンマが脳裏をよぎる。

 「気持ちが前面に出すぎていた、というのはある」

と言うのは、給水係でピッチの外からサポートしていたSH福地だ。

「(初戦の)ハーキューリーズの時よりも、試合前の緊張がすごかったし、ほぐそうとたんですけど、なかなか取れなかったのかな・・・。それと最初の方で簡単にトライを取れてしまったこともあると思います。そこで一気に緊張が油断になってしまったかと」。

 FWリーダーの金も同じことを考えていた。

 「13点取ったということで、落ちつくと言うよりも気が緩んでしまったというか…」

 「『13点もあるよ』って感じになり、いつも通りやれば勝てる気になって用意してきたものがしっかり出せなかった」(福地)

  前半の20分過ぎ当たりからタマリバの逆襲が始まり、六甲陣でジワリジワリと低く厳しいブレイクダウンで迫ってきた。

 「ガツガツ身体を当ててシンドイ時間を乗り越えて前半最後の5分に2トライされて、(タマリバに)乗せてしまいましたね。」

(福地)

FLで出場した谷も振り返る。

「今まで対戦したチームと違ってDFが難しかったです。なかなか的が絞れず、戸惑う選手も多くいました。思い切りDFすれば怖くないのに、抜かれることが怖くて前に出ることができなかった。結果、相手にゲインを破られフェイズを重ねられた。前に出るDFができない悪循環でした」。

 粘り強く守っても、追われながらのデフェンスは体力の消耗を激しくする。体力の消耗はメンタルにより大きく響いてくる。射程圏にとらえたものと追われる者。ハーフタイムでの両チームの心理にも差がつき始めていた。  

 後半開始直後から六甲はタマリバ陣に攻め込む。だが「早くスコアして流れを変えたい」と焦りからか、ラインアウトではノットストレート、フェイズでは簡単なパスミスを繰り返しチャンスを潰してしまう。

 「セットの流れやスクラム、自分たちでリズム崩していってるような感じでした」(PR金)

「上手くいかない時間に自分たちの原点に立ち返り、流れを作り出したタマリバ。六甲は流れを断ち切れなかった」(SO衣川)

「細かい部分ですね。取りやすいパス。ボディコントロール、試合の読み、精神的なもの。そういった少しの差が結果につながったと思います」(FL谷) 

 「タマリバには厳しい状況でも笑顔を見せる場面があった。僕らはミスが重なると焦りが募って修正できなかった。(接戦での)メンタルを強くしなければ…。自信を持つために積み重ねが必要だと強く感じました」(金)

 「DFの多いゲーム展開にしてしまったのはSOとして申し訳なかったと思ってます。もちろんゲームを見返しても、全体として何度も良いプレー、流れを戻すきっかけはありました。しんどい時間に自分たちがやってきたことを信じて我慢できるか。六甲が変わるべき点はここにあると思います」(SO衣川) 

 負けた試合にこそ、強くなる要素がたくさん転がっている。チームや選手としてでなく、人間としても成長できる大きなチャンスでもある。

 自分たちの弱さをかみしめ、向き合って、また立ち上がる。

 人生はチャレンジだ。

 (三宮清純)

 ※写真の一部は清水良枝様からご提供いただきました。


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