全国へBestを!
播州は世界遺産・姫路城にほど近い姫路スポーツセンター。
今年で60回目を数える「播州ラグビー大会」の1カードとして、岡山クラブとの試合が行われた。
岡山クラブは全国大会でも常連で、中国地区代表。本番を前に互いに貴重な実戦となる。
「おそらく、この試合が全国大会までの最後の実戦機会になると思います。全国メンバーへ最後のアピールチャンス。ケガ人以外は全員出ますので、しっかりと準備をしてください!」
アップからメンバーにも気合が入る。
ゲームキャプテンを務めるFB玉川から試合のポイントを確認してからキックオフ。
昨年と違って六甲は序盤からペースをつかみ敵陣で攻撃を組み立てていく。
前半7分。ラインアウトからモールを押し込んでトライ。しかし岡山クラブもブレイクダウンで鋭さを見せて、激しい攻防が続く。六甲はFWから2トライを奪うが、岡山クラブもBK陣がよくボールをつないで1トライを返し、24-5でのハーフタイムとなる。
後半、六甲はメンバーをガラリと変えていく。リーグ戦ではサポート中心だったメンバーや40代のベテランメンバーは、このチャンスをフルに生かそうと躍動する。
数年ぶりにプレー復帰したCTB拝原はここ数戦の強化試合で存在感を見せつけ、同じくCTB福島泰は線が細いながらも人に強いところを見せれば、LO,FL陣も『チャンスがあれば俺が!』の闘志あふれるプレーを見せる。
「本当に困るんですよね」と、スタンドから試合を見つめる谷主将はややひきつった笑顔を見せる。
「強豪ばかりの全国大会。誰を試合で起用するか。ベテランも経験値のあるプレーもするし、若い力、新しい力がチーム力をあげている。ホント悩んでます(苦笑)」
後半、この試合で一番盛り上がった瞬間があった。
途中出場のCTB小杉が、中盤からパスを受けて、やや太め残りの足をフル回転させ激走。右中間にトライを決めた。
「転勤で関西に戻ってから初トライ。本当に嬉しいです」。
普段からサポートに回っても嫌な顔一つせずチームを盛り上げるムードメーカーのトライにチーム全体が盛り上がった瞬間だった。
36対13でのノーサイド。全国大会に向けて互いに収穫と課題を見つけた試合であった。
姫路市ラグビー協会会長から全国大会への熱い激励もいただいた。
ノーサイド後も、恒例のフィットネスを全員でやり切った。
正月越えー。
ラガーマンにとっては特別なことである。どのカテゴリーにおいても、正月越えてプレーできるチームは決して多くない。クラブチームならなおさら想いは深い。世代や職業、地域を超えた仲間が集まり、それぞれ歩んできたラグビー人生をイジりイジられながら化学反応して、「日本一」という同じ夢を追う。厳しい環境でも、本気で頂点を目指す仲間がいるからこそ過ごせる毎日が充実していく。
選手一人ひとりの表情も、近畿リーグ戦前よりたくましくなってきた。
全国初戦まであと1か月。年末・年始を超えて六甲戦士たちはさらに精進を続けていく。
(三宮清純)